第二回「フェイス・トゥ・フェイス」
第一回から二ヶ月ほど間を空けてしまった第二回です。
月次更新を目標としているにも関わらず、いきなり一回分穴を開けてしまった訳ですが、その分、内容の方でカバー出来ればと考えています。
クライアントとIT絡みの仕事をしていると、よく「フェイス・トゥ・フェイス」の対応を求められます。
第二回目のテーマはこの「フェイス・トゥ・フェイス」です。
IP電話や電子メールやSkype等のビデオ会議システム等のコミュニケーションツールがどれだけ整備されていても、それだけでシステム開発が完結する事は無く、少なからず関係者同士が直接顔を合わせて細かい調整を行なう事が求められます。
勿論、顔を合わせるだけではなく、システム開発の根拠となる書類の作成や、準備資料の準備、その他様々な事柄も求められるのですが、どれだけ周到に準備され綿密に作成された資料や書類が揃っていたとしても、人と人が顔を合わせて話をする事が不要になる事はありません。何か別のもので代替になるという訳ではなくて、それが無ければお話にならないという性質のものです。
考えられる理由は多々あります。コミュニケーションツールに対する嫌悪感や拒否感はあるでしょうし、これまでのビジネススタイルとして対面が当然であった事を踏襲したいという思いもあるでしょう。他のコミュニケーションツールでは現れない(切り捨てられてしまい見えなくなる)情報が対面によって得られるという事もありますし、他のコミュニケーションツールが対面ほど融通が利かないという事もあるでしょう。
将来的にコミュニケーションツールが対面の代替となり、対面する事無く案件を完遂出来るようになるかという疑問に対しては、「会社が従業員を雇う際に、会社側が面接を不要とする事が出来るか」という疑問の答えと全く同じであろうと考えています。また、これは家や土地といった大事な買い物をする際に現物を見ないでそれを買う決断が出来るかという疑問に対する答えと同じで、お互いにとって大した内容ではない仕事であれば直接対面する事無く完遂出来るかも知れませんが、ある程度のコストが必要とされる、大事な仕事であったとしたら、フェイス・トゥ・フェイスはどうしても必要となります。
仕事の基本は人であり、人と会って、人と話をして、その上で物事を積み上げないと良いものは出来ません。システムは大勢の人間が関わる一点ものの工芸品であり、大勢の人が関わる以上はそれぞれの人の利害関係の調整が必要であり、それを上手く調整するためには多かれ少なかれ対面での交渉が必要となります。お互いの思惑に行き違いがあってはなりませんし、その中で信頼関係が無ければ作業の一部を切り出して任せる事も出来ません。言葉では伝わらない事が多々ありますし、コミュニケーションツールで切り落とされてしまう事柄や、コミュニケーションツールを使う際に省略されてしまう事柄によって、コミュニケーションに不都合が生じる事だってあります。それらのリスクを未然に防ぎ、かつ、お互いの関係を有益なものにする一番手っ取り早い手段がフェイス・トゥ・フェイスでのコミュニケーションであり、それにより良いシステムが作れるようになるのではないかと考えています。
勿論、フェイス・トゥ・フェイスでやり取りをしていれば必ず良いシステムが出来上がる訳ではなく、そのようなやり取りをしている方が却ってやりづらい(不都合がある)場合もあります。具体的な例は敢えて明示しませんが、その場合においても何度かは関係者同士で顔を合わせる事が必要で、仮に関係者全員が顔を合わせる事が無かったとしても、フロントエンドの人間同士は顔を合わせる必要があるのが通常です。
ITが一般的になった現在において、何も無いところから新規にシステムを導入するという事例はあまりありません。
案件の引き合いとして多いのは「今まで別の人が管理していたシステムを引き継いで管理して貰いたい」「今まで別の業者が構築していたシステムをリプレースしたい」というものです。そして、その際によく言われる事が「IT関係の人間は信頼出来ない人が多い」です。理由を一言で言うと「クロージングが出来ない」人が多く、前金で貰うものだけ貰っておいて案件を途中で「出来ません」と投げ出してしまう人が多いという事です。その際に金額の多寡について言及される事もありますが、これは当事者同士の契約に関する話なので第三者として語る事は難しいです。ただ、双方合意の下に動いている案件がクロージングされない事は問題であり、それについて反論する事は難しいです。
一方からの話しか聞いていないため、受注側には受注側の言い分があるのかも知れません。ただ、同じ受注側の立場にいる人間からすれば、スケジュール進行において状況や前提が変わったら即アクションを起こす必要があり、最善策が取れなくなったら次善策を講じるべく関係者同士がフェイス・トゥ・フェイスで協議するべきであり、それが充分に行なわれず案件を投げ出されては、受注側の責任と言われても仕方ないのではないでしょうか。
ITは、それを本職としている人間から見たら理路整然として分かりやすいものなのかも知れませんが、それをよく知らない人間から見たら魔法のような、理解の範疇を超えた不思議な代物に見えるのかも知れません。
しかし、その魔法のようなものを行使するのはあくまでも人間であり、人間同士のコミュニケーションによって仕事が成立しているという点では他の仕事と変わらないのではないかと思われます。その概念を持って、人間同士のコミュニケーションを第一義として仕事に取り組む事が出来れば、お互いがお互いを理解しあい、建設的な仕事が出来るのではないかと考える次第です。とは言え「これ位、すぐに、簡単に出来るんだろ?」と言ってくる人は少なくなく、二言目にはコスト削減を要求されるクライアントも少なくありません。相互理解のための課題は多く、お互いの間にある溝は決して浅いものではありませんが、相互の立場や利害といったものを上手くバランスさせて対応出来る事が求められているのかも知れません。少なくとも、感情的な対応をしたら、その時点で開発者としてという以前に「社会人として」「大人として」失格と見なされかねないのですから。
(2010年10月10日掲載)
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月次更新を目標としているにも関わらず、いきなり一回分穴を開けてしまった訳ですが、その分、内容の方でカバー出来ればと考えています。
クライアントとIT絡みの仕事をしていると、よく「フェイス・トゥ・フェイス」の対応を求められます。
第二回目のテーマはこの「フェイス・トゥ・フェイス」です。
IP電話や電子メールやSkype等のビデオ会議システム等のコミュニケーションツールがどれだけ整備されていても、それだけでシステム開発が完結する事は無く、少なからず関係者同士が直接顔を合わせて細かい調整を行なう事が求められます。
勿論、顔を合わせるだけではなく、システム開発の根拠となる書類の作成や、準備資料の準備、その他様々な事柄も求められるのですが、どれだけ周到に準備され綿密に作成された資料や書類が揃っていたとしても、人と人が顔を合わせて話をする事が不要になる事はありません。何か別のもので代替になるという訳ではなくて、それが無ければお話にならないという性質のものです。
考えられる理由は多々あります。コミュニケーションツールに対する嫌悪感や拒否感はあるでしょうし、これまでのビジネススタイルとして対面が当然であった事を踏襲したいという思いもあるでしょう。他のコミュニケーションツールでは現れない(切り捨てられてしまい見えなくなる)情報が対面によって得られるという事もありますし、他のコミュニケーションツールが対面ほど融通が利かないという事もあるでしょう。
将来的にコミュニケーションツールが対面の代替となり、対面する事無く案件を完遂出来るようになるかという疑問に対しては、「会社が従業員を雇う際に、会社側が面接を不要とする事が出来るか」という疑問の答えと全く同じであろうと考えています。また、これは家や土地といった大事な買い物をする際に現物を見ないでそれを買う決断が出来るかという疑問に対する答えと同じで、お互いにとって大した内容ではない仕事であれば直接対面する事無く完遂出来るかも知れませんが、ある程度のコストが必要とされる、大事な仕事であったとしたら、フェイス・トゥ・フェイスはどうしても必要となります。
仕事の基本は人であり、人と会って、人と話をして、その上で物事を積み上げないと良いものは出来ません。システムは大勢の人間が関わる一点ものの工芸品であり、大勢の人が関わる以上はそれぞれの人の利害関係の調整が必要であり、それを上手く調整するためには多かれ少なかれ対面での交渉が必要となります。お互いの思惑に行き違いがあってはなりませんし、その中で信頼関係が無ければ作業の一部を切り出して任せる事も出来ません。言葉では伝わらない事が多々ありますし、コミュニケーションツールで切り落とされてしまう事柄や、コミュニケーションツールを使う際に省略されてしまう事柄によって、コミュニケーションに不都合が生じる事だってあります。それらのリスクを未然に防ぎ、かつ、お互いの関係を有益なものにする一番手っ取り早い手段がフェイス・トゥ・フェイスでのコミュニケーションであり、それにより良いシステムが作れるようになるのではないかと考えています。
勿論、フェイス・トゥ・フェイスでやり取りをしていれば必ず良いシステムが出来上がる訳ではなく、そのようなやり取りをしている方が却ってやりづらい(不都合がある)場合もあります。具体的な例は敢えて明示しませんが、その場合においても何度かは関係者同士で顔を合わせる事が必要で、仮に関係者全員が顔を合わせる事が無かったとしても、フロントエンドの人間同士は顔を合わせる必要があるのが通常です。
ITが一般的になった現在において、何も無いところから新規にシステムを導入するという事例はあまりありません。
案件の引き合いとして多いのは「今まで別の人が管理していたシステムを引き継いで管理して貰いたい」「今まで別の業者が構築していたシステムをリプレースしたい」というものです。そして、その際によく言われる事が「IT関係の人間は信頼出来ない人が多い」です。理由を一言で言うと「クロージングが出来ない」人が多く、前金で貰うものだけ貰っておいて案件を途中で「出来ません」と投げ出してしまう人が多いという事です。その際に金額の多寡について言及される事もありますが、これは当事者同士の契約に関する話なので第三者として語る事は難しいです。ただ、双方合意の下に動いている案件がクロージングされない事は問題であり、それについて反論する事は難しいです。
一方からの話しか聞いていないため、受注側には受注側の言い分があるのかも知れません。ただ、同じ受注側の立場にいる人間からすれば、スケジュール進行において状況や前提が変わったら即アクションを起こす必要があり、最善策が取れなくなったら次善策を講じるべく関係者同士がフェイス・トゥ・フェイスで協議するべきであり、それが充分に行なわれず案件を投げ出されては、受注側の責任と言われても仕方ないのではないでしょうか。
ITは、それを本職としている人間から見たら理路整然として分かりやすいものなのかも知れませんが、それをよく知らない人間から見たら魔法のような、理解の範疇を超えた不思議な代物に見えるのかも知れません。
しかし、その魔法のようなものを行使するのはあくまでも人間であり、人間同士のコミュニケーションによって仕事が成立しているという点では他の仕事と変わらないのではないかと思われます。その概念を持って、人間同士のコミュニケーションを第一義として仕事に取り組む事が出来れば、お互いがお互いを理解しあい、建設的な仕事が出来るのではないかと考える次第です。とは言え「これ位、すぐに、簡単に出来るんだろ?」と言ってくる人は少なくなく、二言目にはコスト削減を要求されるクライアントも少なくありません。相互理解のための課題は多く、お互いの間にある溝は決して浅いものではありませんが、相互の立場や利害といったものを上手くバランスさせて対応出来る事が求められているのかも知れません。少なくとも、感情的な対応をしたら、その時点で開発者としてという以前に「社会人として」「大人として」失格と見なされかねないのですから。
(2010年10月10日掲載)
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